物語 ・古典原典
黄泉比良坂
ヨモツヒラサカ
『古事記』上巻に描かれる黄泉比良坂。黄泉国から逃げる伊耶那岐命と追う伊耶那美命、千引の石による別れをたどり、神話の地名と現代の場所を分けて解説します。
代表的な物語
物語
伊耶那美命を失った伊耶那岐命は、妻に会うため黄泉国へ向かいました。黄泉国の御殿で再会した伊耶那美命は、すでに黄泉の食物を口にしたためすぐには戻れないと告げ、神々に相談する間は自分の姿を見ないよう求めます。伊耶那岐命は長く待ちましたが、待ちきれず、髪に挿した櫛の歯を折って火をともし、御殿の中をのぞきました。そこには、身体の各所に八柱の雷神がいる伊耶那美命の姿がありました。
伊耶那岐命は恐れて逃げ出し、伊耶那美命と黄泉の軍勢は後を追います。伊耶那岐命は身に着けたものを投げて追手を遅らせ、ついには黄泉比良坂まで逃げ切りました。そこへ伊耶那美命自身が追いつくと、伊耶那岐命は千人がかりでようやく動かせるほどの千引の石を坂に引き置き、二人のあいだを隔てます。
石をはさんで向き合った二神は、別れの言葉を交わしました。伊耶那美命は、こうするなら伊耶那岐命の国の人々を一日に千人死なせると言います。伊耶那岐命は、それなら一日に千五百人の産屋を建てると応じました。物語は、この言葉から、人が日々死に、また生まれることになったと結びます。黄泉比良坂は、二神が再び交わらないよう石で隔てた場所として描かれました。
伊耶那岐命は恐れて逃げ出し、伊耶那美命と黄泉の軍勢は後を追います。伊耶那岐命は身に着けたものを投げて追手を遅らせ、ついには黄泉比良坂まで逃げ切りました。そこへ伊耶那美命自身が追いつくと、伊耶那岐命は千人がかりでようやく動かせるほどの千引の石を坂に引き置き、二人のあいだを隔てます。
石をはさんで向き合った二神は、別れの言葉を交わしました。伊耶那美命は、こうするなら伊耶那岐命の国の人々を一日に千人死なせると言います。伊耶那岐命は、それなら一日に千五百人の産屋を建てると応じました。物語は、この言葉から、人が日々死に、また生まれることになったと結びます。黄泉比良坂は、二神が再び交わらないよう石で隔てた場所として描かれました。
概要
黄泉比良坂は、『古事記』上巻で伊耶那岐命と伊耶那美命が別れる坂です。伊耶那岐命は千引の石で坂を塞ぎ、死と誕生について二神が言葉を交わします。原典はこの坂を「今、出雲国の伊賦夜坂」と記しますが、神話の地名記述を現在の特定地点の実証と同じ意味には扱いません。
登場する神
どのような神なのか、物語での役割や司るものを出典に沿って紹介します。
伊耶那岐命
『古事記』で伊耶那美命とともに国生み・神生みに関わる神です。この段では、亡くなった妻を追って黄泉国へ赴き、最後に千引の石で坂を塞ぎます。
出典:『古事記 上巻』 伊耶那美命
『古事記』で伊耶那岐命とともに国生み・神生みに関わる神です。この段では黄泉国にとどまり、伊耶那岐命を追います。身体の各所には八柱の雷神がいると語られます。
出典:『古事記 上巻』 八柱の雷神
伊耶那美命の身体の各所に現れる八柱の神々です。この場面では個々の神名や独立した司掌は記されていないため、ここでは一群の神として紹介します。
出典:『古事記 上巻』 現代語解説
この段では、黄泉比良坂は黄泉国とこちら側を隔てる境目として登場します。大きな石を置く行為は、二神が戻れないようにする物語上の出来事です。後の説明では、伊耶那美命の「一日に千人」と伊耶那岐命の「一日に千五百人」という応答によって、人の死と誕生が語られます。ここで紹介したのは『古事記』の神話であり、現地で起きた出来事や、特定の洞窟と同じ場所だと確認された史実ではありません。
「猪目洞窟」の記事では、『出雲国風土記』に記された黄泉之坂・黄泉之穴を別の原典の話として扱います。黄泉比良坂の神話と、宇賀郷の海辺の穴の伝承は、似た黄泉の語を含んでも一つの物語にまとめません。
深く知る
出典を確かめる
本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。
伝承
黄泉国での再会と追跡
伊耶那岐命は黄泉国で伊耶那美命の姿を見て逃げ、黄泉の軍勢も追う。身につけたものを投げて追手を遅らせ、坂へ向かう。
- 上巻「黄泉国」段、再会から追跡『古事記 上巻』全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)
伝承
千引の石による別れ
黄泉比良坂で伊耶那岐命は千引の石を置き、二神は人の死と誕生について言葉を交わす。原典は坂を「今、出雲国の伊賦夜坂」と記す。
- 上巻「黄泉国」段、黄泉比良坂から結末『古事記 上巻』全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)
神の説明
伊耶那岐命
『古事記』で伊耶那美命とともに国生み・神生みに関わる神です。この段では、亡くなった妻を追って黄泉国へ赴き、最後に千引の石で坂を塞ぎます。
- 上巻「国生み・神生み」「黄泉国」段『古事記 上巻』全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)
神の説明
伊耶那美命
『古事記』で伊耶那岐命とともに国生み・神生みに関わる神です。この段では黄泉国にとどまり、伊耶那岐命を追います。身体の各所には八柱の雷神がいると語られます。
- 上巻「国生み・神生み」「黄泉国」段『古事記 上巻』全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)
神の説明
八柱の雷神
伊耶那美命の身体の各所に現れる八柱の神々です。この場面では個々の神名や独立した司掌は記されていないため、ここでは一群の神として紹介します。
- 上巻「黄泉国」段『古事記 上巻』全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)
