物語 ・近世資料
『雨月物語』「白峯」
ウゲツモノガタリ「シラミネ」
上田秋成『雨月物語』の「白峯」を紹介。讃岐の陵を訪ねた西行と、崇徳院の亡霊との対話を作品の筋に沿ってたどります。
代表的な物語
物語
西行は歌枕を訪ねる旅の途中、讃岐の白峯へ向かいました。そこには新院、崇徳院の陵があると聞き、山へ登って墓前で経を読み、歌を手向けます。日が暮れても西行はその場にとどまりました。
夜が深まったころ、どこからか西行を呼ぶ声がします。目を開けると、痩せ衰えた人影が立っていました。その人は、先ほどの歌に返事をするために現れたと言います。西行は相手が崇徳院の霊だと知り、跪いて供養を続けます。そして、仏の道へ進んだ院が、なぜなお恨みにとらわれているのかと尋ねました。
院は、保元の乱を起こしたことも、世に続く争いも、自分の働きによるものだと語ります。讃岐へ流された後、院は五部の大乗経を書き写し、都へ送ろうとしました。しかし呪いが込められているのではないかと疑われ、経は送り返されます。院は悔しさから、経を魔道へ向け、血で願文を書き添えて海へ沈め、魔王になる願いを立てたのだと告白しました。
西行は、院の怒りをそのまま正しいとは認めません。人の道理を説き、恨みを捨てて仏の境地へ向かうよう諫めます。すると院は恐ろしい姿に変わり、空へ向かって名を呼ぶと、鳶のような化鳥が飛来しました。院はその化鳥に命令を与え、都に災いをもたらす企てを語ります。
西行はなおも院に歌を捧げました。その歌を聞くと、院の顔はやわらぎ、燃えていた陰火は薄れていきます。やがて院も化鳥も姿を消し、山は再び静かな夜に戻りました。夜明け、西行はもう一度経を供養して山を下ります。
夜が深まったころ、どこからか西行を呼ぶ声がします。目を開けると、痩せ衰えた人影が立っていました。その人は、先ほどの歌に返事をするために現れたと言います。西行は相手が崇徳院の霊だと知り、跪いて供養を続けます。そして、仏の道へ進んだ院が、なぜなお恨みにとらわれているのかと尋ねました。
院は、保元の乱を起こしたことも、世に続く争いも、自分の働きによるものだと語ります。讃岐へ流された後、院は五部の大乗経を書き写し、都へ送ろうとしました。しかし呪いが込められているのではないかと疑われ、経は送り返されます。院は悔しさから、経を魔道へ向け、血で願文を書き添えて海へ沈め、魔王になる願いを立てたのだと告白しました。
西行は、院の怒りをそのまま正しいとは認めません。人の道理を説き、恨みを捨てて仏の境地へ向かうよう諫めます。すると院は恐ろしい姿に変わり、空へ向かって名を呼ぶと、鳶のような化鳥が飛来しました。院はその化鳥に命令を与え、都に災いをもたらす企てを語ります。
西行はなおも院に歌を捧げました。その歌を聞くと、院の顔はやわらぎ、燃えていた陰火は薄れていきます。やがて院も化鳥も姿を消し、山は再び静かな夜に戻りました。夜明け、西行はもう一度経を供養して山を下ります。
概要
「白峯」は、上田秋成が1776年に刊行した『雨月物語』九編の一つです。讃岐の白峯陵を訪ねた西行が、崇徳院の亡霊と対話する怪異譚として構成されています。
現代語解説
坂出市の歴史解説によると、崇徳上皇は保元の乱の後に讃岐へ配流され、1164年に讃岐で崩御しました。これらの人物・地域の背景と、『雨月物語』で描かれる亡霊、血書、魔王化の物語は別の層です。作品中の院の発言や、院が乱世を引き起こしたという説明を、歴史的事実として扱うことはできません。
本稿は『雨月物語』の一編を再話したもので、『保元物語』など別の怨霊伝承や西行伝説を混ぜていません。
登場人物・登場する存在の紹介
西行は、「白峯」で讃岐の白峯陵を訪れ、読経と歌を手向け、崇徳院の亡霊と対話する人物です。
崇徳院の亡霊は、自らの恨みと魔王になる願いを西行へ語る存在です。西行と崇徳院には歴史上の人物としての背景がありますが、亡霊との対話や魔王化は上田秋成の作品内の出来事です。
深く知る
出典を確かめる
本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。
伝承
巻之一「白峯」冒頭〜亡霊登場
「白峯」では、西行が讃岐の白峯陵を訪れ、読経と歌を手向ける。
- 巻之一「白峯」冒頭〜亡霊登場上田秋成『雨月物語』事実要約可/CC BY-SA 4.0(独自要約)
伝承
巻之一「白峯」院の告白
崇徳院の亡霊は自ら現れ、保元の乱や讃岐での暮らし、経典を都へ送れなかった恨みを語る。
- 巻之一「白峯」院の告白上田秋成『雨月物語』事実要約可/CC BY-SA 4.0(独自要約)
伝承
巻之一「白峯」院の告白
院は経典を魔道へ回向し、魔王となる願いを立てたと語る。
- 巻之一「白峯」院の告白上田秋成『雨月物語』事実要約可/CC BY-SA 4.0(独自要約)
伝承
巻之一「白峯」対話・結末
西行は院に反論し、のちに院の歌を詠む。歌の後に院の姿と陰火が消える。
- 巻之一「白峯」対話・結末上田秋成『雨月物語』事実要約可/CC BY-SA 4.0(独自要約)
伝承
書誌・解題
『雨月物語』は上田秋成作で、1776年に刊行された読本作品である。
- 書誌・解題上田秋成『雨月物語』事実要約可/CC BY-SA 4.0(独自要約)
- 書誌・解題国文学研究資料館「雨月物語」事実要約可/独自要約・文章画像の転載なし
伝承
坂出市「崇徳上皇」
崇徳上皇は保元の乱後に讃岐へ配流され、讃岐で崩御した。
- 坂出市「崇徳上皇」坂出市「崇徳上皇」事実要約可/独自要約・文章画像の転載なし
概要
登場人物・登場する存在の紹介
西行は、「白峯」で讃岐の白峯陵を訪れ、読経と歌を手向け、崇徳院の亡霊と対話する人物です。
崇徳院の亡霊は、自らの恨みと魔王になる願いを西行へ語る存在です。西行と崇徳院には歴史上の人物としての背景がありますが、亡霊との対話や魔王化は上田秋成の作品内の出来事です。
崇徳院の亡霊は、自らの恨みと魔王になる願いを西行へ語る存在です。西行と崇徳院には歴史上の人物としての背景がありますが、亡霊との対話や魔王化は上田秋成の作品内の出来事です。
- 巻之一「白峯」冒頭〜亡霊登場/巻之一「白峯」院の告白/巻之一「白峯」対話・結末/書誌・解題上田秋成『雨月物語』事実要約可/CC BY-SA 4.0(独自要約)
- 書誌・解題国文学研究資料館「雨月物語」事実要約可/独自要約・文章画像の転載なし
- 坂出市「崇徳上皇」坂出市「崇徳上皇」事実要約可/独自要約・文章画像の転載なし
