月夜の荒れた家で七年ぶりに向き合う勝四郎と宮木を描いた創作イメージ。

物語 ・近世資料

『雨月物語』「浅茅が宿」

ウゲツモノガタリ・アサヂガヤド

上田秋成『雨月物語』の一篇。本文はNDL公開の八波則吉編1926年版に基づく。

上田秋成『雨月物語』「浅茅が宿」を、1926年のNDL公開版に沿って紹介。勝四郎が七年ぶりに帰郷した夜、妻の宮木と再会し、夜明けに知る真相をたどります。

代表的な物語

物語

下総国しもうさのくにの勝四郎かつしろうは、妻の宮木みやぎを故郷に残し、絹の商いで身を立てようと京きょうへ上りました。宮木は出立を止めようとしましたが、勝四郎は秋には帰ると約束して旅立ちます。その後、東国では戦乱が起こり、勝四郎が故郷へ戻る道中にもさまざまな災難がありました。帰郷までに七年が過ぎ、勝四郎はようやく妻のもとへ向かいます。

故郷へ戻った勝四郎は、雨の降る夏の夕方、ようやく村に着きます。村は荒れ、かつての家にも灯りがともっていました。勝四郎が声を掛けると、宮木が戸を開けます。二人は長く離れていた間のことを語り合い、その夜を過ごしました。

夜明け、勝四郎が目を覚ますと、屋根は壊れ、家は荒れ果てていました。そばにいたはずの宮木の姿もありません。昨夜の再会が生者とのものではなかったと悟った勝四郎は、庭の墓を見つけます。そこには、帰りを待ちながら宮木が詠んだ歌が残されていました。

勝四郎は近隣の古老から、宮木が夫の帰りを待ち続け、すでに亡くなっていたことを聞きます。古老は宮木の墓を築き、弔ってきたと語りました。勝四郎は妻の墓前で泣きます。物語は、宮木の待つ心を、かつて真間ままの手児奈てこなを慕った人々の心に重ねる歌で閉じます。

概要

「浅茅が宿あさぢがやど」は、上田秋成うえだあきなり『雨月物語うげつものがたり』の一篇です。京へ出た勝四郎は戦乱などで帰郷が遅れ、七年後に妻の宮木と再会します。しかし夜明けには宮木の姿が消え、彼女がすでに亡くなっていたことを知ります。本稿はNDL公開の1926年版に沿った作品の再話です。

現代語解説

この作品では、勝四郎が夜に見た家と宮木が、朝には跡形もなく失われています。古老の説明と墓の歌によって、読者は夫婦の再会が死者との一夜だったと理解します。物語の怪異は、家に現れた妻の姿と、帰りを待ち続けた時間の長さを結び付けています。

これは上田秋成の文学作品であり、同じ形の話が特定の地域で実際に起きたと示す記録ではありません。ここでは一篇の物語として、勝四郎が戻るまで、夜の再会、夜明けの気づき、老翁の証言という順に紹介しました。1926年版の原文・OCRを掲載せず、現代語で独自に要約しています。

主な人物の紹介

勝四郎は、絹の商いで身を立てようと妻を故郷に残して京へ上る男です。妻の宮木は、帰郷を約束した夫を待ち続けますが、勝四郎が戻る前に亡くなったと古老が語ります。二人は上田秋成の文学作品に描かれた人物で、実在の夫婦を記録したものではありません。

深く知る

出典を確かめる

本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。

伝承

勝四郎の出立と帰郷

勝四郎は妻の宮木を残して京へ上り、戦乱などで帰郷が遅れ、七年後に故郷へ戻る。
  1. pp.25–30、出立から帰郷『雨月物語』所収「浅茅が宿」全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)

伝承

夜の再会と朝の真相

勝四郎は夜に宮木と再会するが、夜明けに家と妻の姿が消えている。墓と古老の説明から、宮木はすでに亡くなっていたと知る。
  1. pp.30–36、再会から古老の説明『雨月物語』所収「浅茅が宿」全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)

伝承

篇末の歌

物語は、宮木の待つ心を真間の手児奈に重ねる歌で閉じる。
  1. pp.36–38、古老の証言と結び『雨月物語』所収「浅茅が宿」全文掲載可/著作権保護期間満了資料(PDM)

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