雪霜に閉ざされた山から、灯りのともる小屋へ続く道を旅人が進む、神祖の尊の宿の伝承をもとにした創作イラスト。

物語 ・古典原典

筑波山と福慈岳の山の神

ツクバサントフジノタケノヤマノカミ

『常陸国風土記』筑波郡条 茨城県

『常陸国風土記』筑波郡条に記された、宿を断る福慈岳ともてなす筑波の神の話を、古典本文に沿って紹介します。

代表的な物語

物語

昔、神祖みおやの尊みことは諸神のもとを巡っていました。日が暮れるころ、駿河するが国の福慈ふじの岳やまに着いた尊は、山の神に一夜の宿を願います。

福慈の神は、その夜は新しい粟を初めて味わう折で、家の中では物忌みものいみをしているからと、尊を泊めませんでした。神祖の尊は泣きながら恨み、自分はおまえの親なのに、なぜ宿を許さないのかと責めます。そして、福慈の神が住む山では冬も夏も雪や霜が降り、寒さが幾重にも重なり、人は登らず、飲食を供える者もいなくなるだろうと告げました。

尊は次に筑波つくばの岳へ登り、もう一度宿を求めました。筑波の神は、新しい粟を味わう夜であっても尊の願いに応えようと、飲食を設けて敬い迎えました。もてなしを受けた尊は喜び、神の子孫が天地や月日のように長く続き、人々が集い、飲食に恵まれ、代々栄えるよう歌に託しました。

福慈の岳には雪が降って人が登れず、筑波の岳には人々が集まって歌い舞い、飲み食いすることが今も絶えません。

概要

『常陸国風土記』筑波郡条は、神祖の尊が駿河国の福慈岳と筑波の神を訪ねた古老の伝えを記します。宿を断った神と、客を迎えた神の応対を対照させ、雪と寒さ、人々の集いと繁栄を語る物語です。

登場する神

どのような神なのか、物語での役割や司るものを出典に沿って紹介します。

神祖の尊みおやのみこと

神々の親として、各地の神を訪ねる存在です。『常陸国風土記』の筑波郡条では、福慈の神と筑波の神に宿を求めます。別の神話に登場する特定の神と同一視はしません。
出典:『常陸風土記』

福慈の神ふじのかみ

福慈岳に住む山の神です。『常陸国風土記』では新しい粟を味わう夜の物忌みを理由に、神祖の尊の宿を断ります。木花咲耶姫と同じ神だとは断定しません。
出典:『常陸風土記』

筑波の神つくばのかみ

筑波岳に住む山の神です。『常陸国風土記』では神祖の尊を飲食でもてなし、子孫の繁栄と人々の集いを祝福されます。この記事では特定の祭神名を補いません。
出典:『常陸風土記』

現代語解説

この話は『常陸国風土記』の「古老曰」として記された伝承です。山の神の応対や神祖の尊の言葉を、現在の気候、人出、祭礼の状況を証明する記録として読むことはできません。また、この段落だけでは「神祖の尊」を別の神話に登場する特定の神と同定できません。

出典は「駿河の国福慈の岳」と記します。記事では出典の古称を用い、別の神名や、出典にない祭礼の細部を補っていません。

深く知る

出典を確かめる

本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。

伝承

神祖の尊の宿探し

「古老曰」に伝わる話では、神祖の尊は日暮れに駿河国の福慈岳を訪れ、山の神に宿を求める。
  1. 筑波郡条「古老曰」『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

伝承

福慈の神の拒絶

福慈の神は新しい粟の初嘗と家内の物忌みを理由に宿を断り、尊は親である自分を拒んだことを責める。
  1. 筑波郡条「古老曰」・福慈岳の応対『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

伝承

福慈岳への告げ

尊は福慈岳に雪と霜、寒さが続き、人が登らず供え物も絶えると告げる。
  1. 筑波郡条「古老曰」・福慈岳への告げ『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

伝承

筑波の神の歓待と祝福

筑波の神は食事を設けて尊を迎え、尊は神の子孫と人々の集いが長く栄えるよう祝う。
  1. 筑波郡条「古老曰」・筑波岳の応対と祝福『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

伝承

二つの山の結び

伝承は福慈の岳に雪が降り人が登らない一方、筑波の岳では人々の歌舞と飲食が今も続くと結ぶ。
  1. 筑波郡条「古老曰」・結び『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

神の説明

神祖の尊

神々の親として、各地の神を訪ねる存在です。『常陸国風土記』の筑波郡条では、福慈の神と筑波の神に宿を求めます。別の神話に登場する特定の神と同一視はしません。
  1. 筑波郡条「古老曰」・神祖の尊の来訪『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

神の説明

福慈の神

福慈岳に住む山の神です。『常陸国風土記』では新しい粟を味わう夜の物忌みを理由に、神祖の尊の宿を断ります。木花咲耶姫と同じ神だとは断定しません。
  1. 筑波郡条「古老曰」・福慈岳の神の応対『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

神の説明

筑波の神

筑波岳に住む山の神です。『常陸国風土記』では神祖の尊を飲食でもてなし、子孫の繁栄と人々の集いを祝福されます。この記事では特定の祭神名を補いません。
  1. 筑波郡条「古老曰」・筑波の神のもてなしと祝福『常陸風土記』事実要約可/PDM(独自再話)

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