物語 ・古典原典
沼河比売への求婚—高志国に届いた八千矛神の歌
ヌナカワヒメヘノキュウコン
八千矛神が高志国の沼河比売を訪ね、歌を交わして翌夜に結ばれる『古事記』の物語。糸魚川とのつながりと、別文献の系譜も分けて紹介します。
代表的な物語
物語
八千矛神は、遠い高志国に沼河比売という神がいると聞き、そのもとへ求婚に出かけました。比売の家まで来ると、戸の前に立って歌いかけます。神は高志国まで訪ねてきたことを告げますが、夜が明けようとするころ、山や野、庭の鳥が次々に鳴きました。
沼河比売は戸を開けません。家の内から歌を返し、今夜が来たら会おうと応じました。その夜、二人はまだ会いませんでした。翌日の夜になって、八千矛神と沼河比売は結ばれたといいます。
沼河比売は戸を開けません。家の内から歌を返し、今夜が来たら会おうと応じました。その夜、二人はまだ会いませんでした。翌日の夜になって、八千矛神と沼河比売は結ばれたといいます。
概要
『古事記』上巻「八千矛神」には、八千矛神が高志国の沼河比売を訪れ、歌を交わして結婚する物語があります。八千矛神は大国主神の別名です。物語の舞台となる高志国は、現在の北陸地方に広がる古い地域名で、訪問先を現在の糸魚川市内の一点と特定することはできません。 沼河比売の名は、越後国頸城郡の沼川郷や現在の糸魚川周辺と結び付けて論じられています。糸魚川周辺には姫を祀る神社が分布します。地域とのつながりは、古事記本文の舞台の厳密な所在地とは分けて理解します。
登場する神
どのような神なのか、物語での役割や司るものを出典に沿って紹介します。
沼河比売
高志国にいる女神として語られます。『古事記』では八千矛神が求婚し、二人が歌を交わします。この記事の根拠からは、特定のご利益を司る神とまでは断定しません。
出典:校註 古事記 八千矛神
国づくりの神・大国主神の別名です。『古事記』ではこの名で高志国の沼河比売に求婚し、歌を交わします。
出典:校註 古事記 御穂須々美命
沼河比売と大国主神の子とする系譜に登場する神です。この記事では『出雲国風土記』の異伝として紹介します。『古事記』の求婚場面の続きに、そのまま組み込むことはしません。
出典:國學院大學「沼河比売」神名データベース 建御名方神
『古事記』の国譲りで力比べを挑む神です。この記事の系譜説明では、『先代旧事本紀』が沼河比売の子とする別の伝えを区別します。母の系譜を『古事記』の記述としては扱いません。
出典:校註 古事記 現代語解説
物語の中心は、訪ねてきた神の歌と、戸を開けずに応じる比売の歌です。二人はその夜には会わず、翌夜に結ばれます。原典は歌を多く含みますが、本稿では歌の文面を転載せず、行動と結末を独自に再話しました。
『古事記』のこの場面は、結婚後の子について述べません。一方で『出雲国風土記』には御穂須々美命、『先代旧事本紀』には建御名方神を子とする異伝があります。これは系譜の違いであり、求婚場面の物語に続けて一つの筋にはしません。
深く知る
出典を確かめる
本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。
神の説明
沼河比売
高志国にいる女神として語られます。『古事記』では八千矛神が求婚し、二人が歌を交わします。この記事の根拠からは、特定のご利益を司る神とまでは断定しません。
- 上巻「八千矛の神」沼河比売への求婚歌校註 古事記全文掲載可/著作権保護期間満了・青空文庫収録
神の説明
八千矛神
国づくりの神・大国主神の別名です。『古事記』ではこの名で高志国の沼河比売に求婚し、歌を交わします。
- 上巻「大國主の神」「八千矛の神」校註 古事記全文掲載可/著作権保護期間満了・青空文庫収録
神の説明
御穂須々美命
沼河比売と大国主神の子とする系譜に登場する神です。この記事では『出雲国風土記』の異伝として紹介します。『古事記』の求婚場面の続きに、そのまま組み込むことはしません。
- 「諸説」・『出雲国風土記』の御穂須々美命の系譜國學院大學「沼河比売」神名データベース事実要約可/著作権保護資料・事実と説の独自要約のみ
神の説明
建御名方神
『古事記』の国譲りで力比べを挑む神です。この記事の系譜説明では、『先代旧事本紀』が沼河比売の子とする別の伝えを区別します。母の系譜を『古事記』の記述としては扱いません。
- 上巻「國讓り」建御名方神校註 古事記全文掲載可/著作権保護期間満了・青空文庫収録
- 「諸説」・『先代旧事本紀』の系譜國學院大學「沼河比売」神名データベース事実要約可/著作権保護資料・事実と説の独自要約のみ
