中央の大きな山並みをはさんだ遠い尾根で、温羅と吉備津彦命が矢を放つ伝説の創作イメージ。

物語 ・地域伝承

鬼ノ城と温羅伝説

キノジョウトウラデンセツ

古代山城の考古学的調査、および岡山・吉備に伝わる温羅退治伝説 岡山県

岡山県総社市の鬼ノ城は、発掘成果から7世紀後半に築かれた可能性が高い古代山城です。温羅の居城とする地域伝説を、史跡の考古学的情報と分けて紹介します。

代表的な物語

物語

吉備きびの地には、温羅うらが山上に城を築いたという伝説があります。その居城が鬼城山きのじょうざんの鬼ノ城きのじょうだと語られます。吉備津彦命きびつひこのみことが温羅のもとへ向かうと、二人は山をはさんで矢を射合いました。放たれた矢は空中でぶつかり続けましたが、やがて命の矢が温羅の左目に当たります。

温羅は傷を負い、雉に姿を変えて逃げました。命も鷹となって追い、温羅がさらに鯉へ姿を変えて川へ逃れると、命は鵜となって追いつき、ついに捕らえたと伝えられます。

温羅の首は白山神社はくさんじんじゃにさらされ、のちに吉備津神社きびつじんじゃの釜の下へ埋められたと語られます。それでもうなり声が止まらないため、温羅の言葉に従って妻に釜で米を炊かせました。温羅は釜の音で世の吉凶を告げると約束したといいます。

概要

鬼ノ城は、岡山県総社市の鬼城山に築かれた古代山城です。発掘調査から7世紀後半に築かれた可能性が高いとされます。一方、温羅の居城というのは、鬼城山と温羅退治を結び付ける地域伝説です。山城の存在は確認された遺跡の事実ですが、温羅が実在したことや城主だったことを証明するものではありません。

現代語解説

鬼ノ城は『日本書紀』などの歴史書に名が見えず、発掘成果から築造時期が検討されている古代山城です。城壁や門、水門、建物跡などの遺構が、山上に大規模な施設が築かれていたことを示します。これは考古学的な調査の話です。

温羅伝説は、同じ山を鬼の居城として語ります。物語では矢の応酬や変身、首のうなり、釜の音による占いが結び付いていますが、これらは地域伝説の内容です。城跡の年代や遺構と伝説を並べて読むことはできますが、伝説を考古学上の事実に置き換えないようにします。また、この伝説が桃太郎の唯一の起源であるとは本稿では断定しません。

登場人物の紹介

温羅は、吉備の山に城を構えたと伝えられる人物です。この伝説では鬼ノ城を居城とし、吉備津彦命と矢を射合い、雉や鯉に姿を変えて逃れようとします。吉備津彦命は温羅を討つために向かい、鷹や鵜に姿を変えて追う人物として語られます。いずれも伝説の登場人物であり、温羅の実在や鬼ノ城の城主だったことを示す史実ではありません。

深く知る

出典を確かめる

本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。

伝承

温羅退治の地域伝説

日本遺産ポータルに掲載された温羅伝説では、吉備津彦命との矢の応酬、雉・鯉と鷹・鵜への変身、首のうなりと釜の音が語られる。
  1. 温羅退治の掲載ストーリー「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま」事実要約可/公共データ利用規約(第1.0版)/CC BY 4.0互換

史料記録

鬼城山の古代山城

鬼ノ城は鬼城山にある古代山城の史跡で、築造時期は発掘成果から7世紀後半の可能性が高いとされる。温羅の実在や城主同定の証拠とは区別する。
  1. 文化財概要・発掘成果と伝説の位置づけ鬼城山(鬼ノ城)事実要約可/公共データ利用規約(第1.0版)/CC BY 4.0互換

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