物語
稲生平太郎の魔王物語—三次に現れた怪異
イノウヘイタロウノマオウモノガタリ
稲生平太郎が夜の山へ出かけたあと、一か月続く怪異に遭う田中貢太郎「魔王物語」を、結末までたどります。
代表的な物語
物語
備後国三次に暮らす稲生平太郎は、知人の権八と大熊山の怪異の話をしました。二人はくじを引き、山へ行く役が平太郎に当たります。平太郎は雨の夜、暗い山道を進み、塚とその後ろの大杉を確かめました。しばらく待っても怪異は現れません。帰り道で何者かと行き違い、刀を向けましたが、それは平太郎を案じて迎えに来た権八でした。
やがて七月になると、平太郎の家で不可解なことが起こり始めます。夜、入道のようなものが現れ、平太郎が刀を向けると縁の下へ消えました。部屋に戻ると畳は隅へ積まれています。あるときは、助けたはずの女が家から忽然と消え、またあるときは借りてきた仏画が軸を離れて部屋を巡りました。周囲の人も怪異を退けようとしましたが、平太郎の家では形を変えた出来事が続きます。平太郎はついに一人で家を守り、一か月を過ごしました。
月の最後の夜、平太郎の前に武士の姿をした者が現れます。平太郎が刀を向けても、相手は壁の中へ姿を消し、そこから声をかけました。平太郎が刀を納めると、その者は再び現れて山本五郎左衛門と名乗ります。自分は魔王であり、山で平太郎と行き会った時に七月の災いを見たので、それを防ぐために怪異を見せたのだと語りました。そして病人を救うための巻物を渡し、仲間を連れて空へ去りました。
やがて七月になると、平太郎の家で不可解なことが起こり始めます。夜、入道のようなものが現れ、平太郎が刀を向けると縁の下へ消えました。部屋に戻ると畳は隅へ積まれています。あるときは、助けたはずの女が家から忽然と消え、またあるときは借りてきた仏画が軸を離れて部屋を巡りました。周囲の人も怪異を退けようとしましたが、平太郎の家では形を変えた出来事が続きます。平太郎はついに一人で家を守り、一か月を過ごしました。
月の最後の夜、平太郎の前に武士の姿をした者が現れます。平太郎が刀を向けても、相手は壁の中へ姿を消し、そこから声をかけました。平太郎が刀を納めると、その者は再び現れて山本五郎左衛門と名乗ります。自分は魔王であり、山で平太郎と行き会った時に七月の災いを見たので、それを防ぐために怪異を見せたのだと語りました。そして病人を救うための巻物を渡し、仲間を連れて空へ去りました。
概要
これは田中貢太郎「魔王物語」の筋です。舞台の備後国三次郡は現在の広島県にあたります。稲生平太郎にまつわる『稲生物怪録』には異本があり、田中作品を江戸期の一つの原本そのものとは扱いません。怪異の出来事は作品世界の語りで、史実の確認ではありません。
現代語解説
田中版では、平太郎が権八とのくじに従って山へ行ったことが物語の入口です。終盤では魔王自身が怪異の理由を説明し、巻物を渡して去ります。怪異をただ退けた話として終わらないところがこの作品の特徴です。別の『稲生物怪録』系作品では発端も異なるため、本稿は田中版に範囲を定めました。
登場人物・登場する存在の紹介
稲生平太郎は、田中貢太郎「魔王物語」で、山へ行った後に自宅で一か月の怪異を経験する主人公です。権八は、平太郎とくじを引き、山へ行った彼を案じて迎えに来る知人です。
山本五郎左衛門は、最後の夜に自らを魔王と名乗る存在です。平太郎の災いを防ぐため怪異を見せたと説明し、巻物を渡して去ります。ほかの異本の名前や設定を、この田中版へ混ぜていません。
深く知る
出典を確かめる
本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。
概要
登場人物・登場する存在の紹介
稲生平太郎は、田中貢太郎「魔王物語」で、山へ行った後に自宅で一か月の怪異を経験する主人公です。権八は、平太郎とくじを引き、山へ行った彼を案じて迎えに来る知人です。
山本五郎左衛門は、最後の夜に自らを魔王と名乗る存在です。平太郎の災いを防ぐため怪異を見せたと説明し、巻物を渡して去ります。ほかの異本の名前や設定を、この田中版へ混ぜていません。
山本五郎左衛門は、最後の夜に自らを魔王と名乗る存在です。平太郎の災いを防ぐため怪異を見せたと説明し、巻物を渡して去ります。ほかの異本の名前や設定を、この田中版へ混ぜていません。
- 第一節/第二節〜末節/末節魔王物語全文掲載可/著作権保護期間満了・青空文庫収録
