雪の黒平で自然石を前に、都から来た一行と正月十四日の能三番奉納を描いた、道祖神の甲斐の由来伝承をイメージするオリジナル生成情景画

祭祀 ・地域伝承

道祖神(甲斐の記録)

ドウソジン(サイノカミ)

黒平の由来伝承と1920年代の甲斐の記録

折口信夫の論考、山中共古『甲斐の落葉』の1920年代の地域記録、黒平の「能三番由来記」に基づく道祖神祭りの由来伝承を、資料の範囲に限って紹介します。

代表的な物語

物語

文治元年(1185年)の正月のことでした。藤原朝臣房秀ふじわらのあそんふさひでの一行は都を追われ、黒平くろべらの小字原こあざはらへたどり着きました。

一行はそこで大山祇命おおやまづみのみことを祀りました。正月十四日の道祖神祭りの日になると、房秀は神前で能三番を奉納したといいます。そこには、神霊を慰め、郷内の五穀豊穣を願い、天災・悪疫・邪気を祓い、各戸の安全を守りたいという願いが託されていました。

房秀が伝えたとされる能三番は、子孫の代へと受け継がれ、黒平の道祖神祭りに結びつく芸能になりました。正月の祭りの日には、都を離れてこの地に至った一行の由来とともに、その舞が語り継がれたのです。

概要

道祖神どうそじんをめぐる折口信夫おりくちしのぶの論考、山中共古やまなかきょうこが1920年代の甲斐かいで記録した丸石・祭り・札・像容の地域差、そして甲府市資料が紹介する黒平くろべらの「能三番由来記」に基づく由来伝承を、資料ごとに分けて紹介します。全国共通の定義や現在の慣行、道祖神一般の起源は扱いません。

登場する神

どのような神なのか、物語での役割や司るものを出典に沿って紹介します。

道祖神どうそじん

道や村の境に関わる神として論じられます。折口信夫は、さえの神と石の信仰を結びつけて考えています。これは著者の解釈で、全国の祭りや神の姿を一律に定める説明ではありません。
出典:石の信仰とさえの神と

大山祇命おおやまづみのみこと

黒平の由来伝承で、都から来た一行が祀る神です。甲府市が紹介する「能三番由来記」は、その神前に能を奉納し、五穀豊穣や各戸の安全を願ったと伝えます。道祖神と同じ神だとは断定しません。
出典:甲州の匠の源流 御嶽昇仙峡 資料1

現代語解説

折口の論考は、道祖神を石の信仰と関係づけて考える一つの解釈です。著者名と論考名を示し、学界全体の確定的な説明としては扱いません。一方、『甲斐の落葉』は、甲斐の複数地域で観察・記録された事例です。研究上の解釈と、当時の地域記録を同じ種類の根拠として混ぜないことが重要です。

『甲斐の落葉』の記述は、丸石、祭り、札、像容について、村ごとの差異を含みます。このため、焦点は「道祖神一般の姿」ではなく、「山中共古が1920年代の甲斐で何を記録したか」です。

これとは別に、甲府市の公開資料は、黒平の地域史料「能三番由来記」に基づく道祖神祭りの由来伝承を紹介しています。この記事では、藤原房秀の一行が能三番を奉納したという伝承を、黒平に限った記録として扱い、道祖神一般の起源や現在の甲斐全域の慣行へ一般化しません。

深く知る

出典を確かめる

本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。

異説・解釈

折口信夫の解釈

折口信夫おりくちしのぶは、道祖神を理解するには石の信仰を検討する必要があると論じ、石と無関係な例・生殖器と無関係な例の存在にも触れている。
  1. 冒頭、末尾石の信仰とさえの神と事実要約可/著作権保護期間満了・青空文庫収録

記録

1920年代の甲斐の地域記録

山中共古やまなかきょうこは『甲斐の落葉』で、1920年代の甲斐における丸石の道祖神と、祭り・札・像容が村ごとに異なる事例を記録している。
  1. コマ14〜22(本文頁22〜39)「道祖神」甲斐の落葉事実要約可/インターネット公開(保護期間満了)

伝承

黒平の由来伝承

甲府市の公開資料は、黒平の地域史料「能三番由来記」に基づき、文治元年(1185年)に藤原房秀の一行が大山祇命を祀り、正月十四日の道祖神祭りに奉納する能三番を伝えたという由来伝承を紹介している。
  1. PDF 26〜27頁「黒平の能三番」甲州の匠の源流 御嶽昇仙峡 資料1事実要約可/甲府市公開資料の独自要約(原文・画像転載なし)

神の説明

道祖神

道や村の境に関わる神として論じられます。折口信夫は、さえの神と石の信仰を結びつけて考えています。これは著者の解釈で、全国の祭りや神の姿を一律に定める説明ではありません。
  1. 本文・さへ(さい)の神と石の信仰に関する論述石の信仰とさえの神と事実要約可/著作権保護期間満了・青空文庫収録

神の説明

大山祇命

黒平の由来伝承で、都から来た一行が祀る神です。甲府市が紹介する「能三番由来記」は、その神前に能を奉納し、五穀豊穣や各戸の安全を願ったと伝えます。道祖神と同じ神だとは断定しません。
  1. 誌面26–27頁(PDF14頁)「黒平の能三番」・能三番由来記甲州の匠の源流 御嶽昇仙峡 資料1事実要約可/甲府市公開資料の独自要約(原文・画像転載なし)

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