月明かりの海辺の丘で向かい合う二匹の狸の頭領と、灯りを持って集まる狸たちを描いた創作情景画。

物語 ・近世資料

阿波狸合戦と金長

アワタヌキガッセンとキンチョウ

江戸後期〜近代 徳島県

阿波狸合戦と金長を、江戸後期から明治期の写本に見える対立・合戦・後継の物語として紹介します。

代表的な物語

物語

日開野ひがいのの金長きんちょうは、津田浦つだうらの六右衛門ろくえもんのもとへ修行に行きました。六右衛門は腕を上げた金長を跡継ぎに望みます。けれど金長が断ると、六右衛門は金長を討とうと夜討ちを企てました。

その企てを知った六右衛門の家来・鹿の子かのこは、金長に知らせます。金長は逃れましたが、金長に仕えた鷹たかは夜討ちで命を落としました。密告した鹿の子も六右衛門に殺されます。金長は小松島へ戻って仲間を集め、鹿の子の妻・小鹿子こかのこも夫の仇を討つために金長の側につきました。

両軍は津田浜つだはまでぶつかります。鷹の子である小鷹こたかと熊鷹くまたかは、父を討った作右衛門さくえもんを倒しました。六右衛門は穴観音あなかんのんへ逃げ込みましたが、日開野の狸たちに追われ、小鹿子に討たれました。戦いのあと、金長は村へ帰って最期を迎え、そのための祠ほこらが建てられたといいます。

異聞

阿波の狸は金長と六右衛門の二つの軍勢に分かれて戦いました。勝負が決まらないまま、二匹の頭領はともに命を落とします。それでも争いは終わらず、二代目の金長と六右衛門の子が日開野で弔い合戦を始めました。そこへ讃岐さぬき・屋島やしまの禿狸はげだぬきが訪れ、両軍は和解したと伝えられます。

概要

阿波狸合戦は、日開野の金長と津田浦の六右衛門が争う徳島の伝奇です。ここでは『古狸金長義勇珍説』の筋を主な物語とし、二代の弔い合戦が和解に至る別伝を「異聞」として分けて紹介します。写本や後代の記録を一つの正伝とはみなしません。

現代語解説

主な物語は、森脇佳代子による写本比較で筋が確認できる『古狸金長義勇珍説』の系統に沿って再話しました。金長の修行から夜討ち、鹿の子と鷹の死、津田浜の合戦までは、比較対象の三系統におおむね共通します。一方、六右衛門が討たれ、金長が帰村して最期を迎え、祠が建つ結末は『古狸金長義勇珍説』の系統に基づきます。

写本『金長一生記』には六右衛門が討たれる最後の部分がなく、六右衛門が生き延びたと断定できるわけではありません。後藤捷一が1922年に記した伝説は、両頭領がともに死に、次の世代の戦いが屋島の禿狸によって収まる別の筋を伝えます。こちらを「異聞」として主な物語から切り離しました。

写本では金長を「禁長」と記すものもあり、人物名や細部も一様ではありません。この記事は狸同士の戦いを史実として扱わず、写本と後代の伝説がそれぞれ語った出来事として紹介します。

登場人物・登場する存在の紹介

金長きんちょうは、日開野から六右衛門ろくえもんのもとへ修行に行く狸です。六右衛門は津田浦の頭領で、金長を跡継ぎに望みますが、断られると夜討ちを企てます。

鹿の子かのこは、その企てを金長へ知らせる六右衛門の家来です。鷹たかは金長に仕える狸で、夜討ちで命を落とします。鹿の子の妻・小鹿子こかのこと、鷹の子・小鷹こたか、熊鷹くまたかは、仇を討つ戦いに加わります。

異聞に登場する屋島の禿狸はげだぬきは、次の世代の弔い合戦を和解へ導く存在です。代表話と異聞では両頭領の最期や決着が異なるため、人物の経歴を一続きにしません。

深く知る

出典を確かめる

本文中の説明ごとに、根拠となる資料と該当箇所を示します。

伝承

主な物語の発端と合戦

三系統の写本に、金長の修行、六右衛門による夜討ち、鹿の子と鷹の死、小鹿の子の加勢、津田浜の合戦が共通する。
  1. 森脇佳代子「阿波の狸合戦」諸写本の比較考察、p.133–134「写本3種の共通点」「阿波の狸合戦」諸写本の比較考察事実要約可/本文・画像を転載せず独自要約

伝承

『古狸金長義勇珍説』の結末と写本の異同

『古狸金長義勇珍説』では六右衛門が討たれ、金長は帰村して最期を迎え、祠が建てられる。一方『金長一生記』は六右衛門が討たれる場面を欠き、写本ごとに結末が異なる。
  1. 同論文、p.134「写本3種の差異・各本の特徴」および表2、p.136「阿波の狸合戦」諸写本の比較考察事実要約可/本文・画像を転載せず独自要約

伝承

異聞・二代の弔い合戦と和解

後藤捷一が1922年に記した伝説では、金長と六右衛門は勝敗がつかぬうちにともに死に、二代目金長と六右衛門の子が弔い合戦をしたのち、屋島の禿狸の挨拶で和解する。
  1. 後藤捷一「阿波に於ける狸傳説十八則」pp.281–282を典拠とする事例カード2400113狸合戦,金長,六右衛門(怪異・妖怪伝承データベース)事実要約可/本文・画像を転載せず独自要約

概要

登場人物・登場する存在の紹介

金長きんちょうは、日開野から六右衛門ろくえもんのもとへ修行に行く狸です。六右衛門は津田浦の頭領で、金長を跡継ぎに望みますが、断られると夜討ちを企てます。

鹿の子かのこは、その企てを金長へ知らせる六右衛門の家来です。鷹たかは金長に仕える狸で、夜討ちで命を落とします。鹿の子の妻・小鹿子こかのこと、鷹の子・小鷹こたか、熊鷹くまたかは、仇を討つ戦いに加わります。

異聞に登場する屋島の禿狸はげだぬきは、次の世代の弔い合戦を和解へ導く存在です。代表話と異聞では両頭領の最期や決着が異なるため、人物の経歴を一続きにしません。
  1. 森脇佳代子「阿波の狸合戦」諸写本の比較考察、p.133–134「写本3種の共通点」/同論文、p.134「写本3種の差異・各本の特徴」および表2、p.136「阿波の狸合戦」諸写本の比較考察事実要約可/本文・画像を転載せず独自要約
  2. 後藤捷一「阿波に於ける狸傳説十八則」pp.281–282を典拠とする事例カード2400113狸合戦,金長,六右衛門(怪異・妖怪伝承データベース)事実要約可/本文・画像を転載せず独自要約

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